勝俣美秋~成田市立西中学校へ講演に行ってまいりました!

千葉県成田市にある、成田市立西中学校1学年の生徒さんへ
「進路講演会~働く人に学ぶ会~」の講師の一人として招かれ、講演に行ってまいりました。

以下、講演原稿とその時の様子をちょっとばかりご紹介!


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「進路講演会~働く人に学ぶ会~」

皆様こんにちは。
劇団わらく代表の勝俣美秋と申します。

今日は皆さんの前で、僕のやっている仕事について話をさせていただだき、その話の中から、一人ひとりの中に何かが残せるように、話ができればと思ってます。

それでは、早速ですが、本題に入りたいと思います。

まず、僕の職業がどんな職業なのかという事からお話いたします。
僕の職業は俳優・演出家です。
皆さんが、俳優という職業を思いうかべるとテレビや映画俳優をイメージすることでしょう。しかし、僕は舞台俳優です。演出家としても、テレビや映画ではなく舞台演出家です。
今言った僕の職業を違う言い方で、舞台芸術家という言い方もあります。
芸術家というのは、「新しく何かを創りだす人」、という風に僕はとらえています。
舞台芸術家という職業の中でも、今日は主に舞台俳優という仕事の話をしたいと思います。

舞台俳優という職業の特徴の一つは、生身の人間が舞台上で演じ、観客が劇場とう同じ空間で観ている。人前に体をさらしてお金を頂いくという、「ライブ」つまり生である、そういう特殊な職業です。職業、仕事とは、何かを作りそれを売ってお金を稼ぎ生活をしていく一つの手段です。では、俳優は演ずる事で何を作っているのか?

人間は体と精神=心がある。この二つがあり人間として存在している。
演劇を通じて創るものとは、具体的な形となっては残っていかないが、人間の精神の部分に訴えかけるもの、そういうものを創りだしていく仕事。つまり、何らかの「感動」を創りだして、それを劇場でお客様に生で見ていただく事によりお金を頂く。簡単に言うと、これが、僕たち舞台芸術家の仕事です。

「感動」とは感じて動く事です。
感じて泣くとか、笑うだとか怒るだとか、いとおしくなるだとか、憎しみだとか、なつかしさだとか・・・なにかそういう心を揺さぶられる事を感動といいます。
人の心を掴み揺さぶる何かを創りだすのは、並大抵な事ではできません。

次に、舞台俳優の仕事で大変な事は何かのお話をします。
俳優は体が資本。体を使ってする職業です。体=身体性を重視した仕事です。
先ほどもいいましたが、舞台は生=ライブです。俳優と観客が、同じ空間で存在しているため、頭の先からつま先まで穴のあくほど観られている。そして、その観ているお客様は、公演が何回あっても、その日その日、毎回初めて観ていただくお客様です。だから、何回公演があっても、同じ事の繰り返しにならないように、一回、一回生きなおすのです。
その一回は人生と同じで生まれたら引き返せない。舞台も幕があいたらやり直しがきかない。しかし、人間の体は、大変繊細なものです。風邪を引けば、せきが出たり、声が変わったりしてしまう。心配事があると、体も思うように動かなくなったりする。その繊細な体をコントロールして、毎回、今現在自分が持っている能力の最高のクオリティーまで持っていく。そして、生でお客様に観ていただく。舞台俳優はそこに大変な緊張や重圧があるがそこがまた一番の魅力でもある。

また、演劇とは「総合芸術である」とはよくいわれている事でありますが、そこで生きていく俳優は決して一人では仕事ができない。作家、俳優、照明、音響、美術、衣装、制作などそれぞれの役割の方がいて一本の芝居ができる。
いずれにしろ演劇とは集団でやらなければいけない。いろいろな意見の違う人=他者の存在が不可欠。他者と話をし、意見や価値観の違いをすり合わせ、議論をし、時には喧嘩にもなり、そうして一本の芝居が出来上がる。集団で一つの物を創り上げる事が演劇をするうえでは一苦労、本当に大変な事です。もめごとや問題が発生すると、仕事も前に進まなくなってしまう。しかし、それを乗り越え、皆で一つの作品を創り上げた時は、苦労をしたその何倍もうれしい。嬉しさは人と共有すると何倍にもなる。また、大変な事は皆で分担すれば一人ひとりの負担が軽くなる。集団でする仕事は大変だが、ここが素敵な所です。

先ほど僕の職業を、舞台演出家でもあるといいましたが、集団で作る作品が、一つの生き物として舞台に乗せるために芯になり方向性を示す存在が演出家という職業です。

今までの話の中で、舞台俳優の大変な事として、集団でする事と体というものを無視しては考えられない仕事といいました。しかし、よく考えてみると、実は僕を含め皆さんも、すでに社会の中のいろいろな集団に属して生きている。
家族、学校、地域、国、世界、人類というさまざまな集団。
いずれにせよ、僕たち人間は、いやでも集団の中で生きていくしかない。
また、体も切っても切り離せないものとして、一人一人、自分といという存在がある。
いいとか悪いとかではなく、そうした中でしか生きられないのが人間って言う生き物です。

ですので、集団と身体性を学びなおしていく為に必要な場として、僕はわざわざ、劇団という、また新たな集団をつくりました。そして学んだ事を俳優は、舞台で実践をする事により、集団や体というものの可能性を実証し続ける事。そういう繰り返しの作業をやって行く事が、社会、人間、人生というものをもっと違った角度で見られるようになるのではないか、その事が一回しかない「生」をもっと充実したものにする事ができるのではないかと信じていますので、それが現在も芝居を続けている、動機となっています。

しかし、最初にこの仕事を始めた動機は、これが非常にいい加減なもので、「有名になりたい。お金持ちになりたい。女の子にもてたい。」です。そのような所からこの世界に入りましたので、最初から深く考えてこの世界にはいったわけではない。
ですので、最初は芸能プロダクションに所属をし、テレビや映画の仕事をやっておりました。しかし、ある演劇研究所を主催する方に出会い、そこに入所し俳優の修業を数年しました。この方が僕の芝居の師匠に当たる方になります。今は故人になってしまいましたが、この師匠との出逢いをきっかけに、芝居の世界にのめりこむようになり、本格的に舞台俳優という職業について考え、現在の僕は劇団をたちあげ活動するまでになりました。

今日は僕の職業の話をさせてもらいましたが、仕事とかなんとか言う前に、僕たちに共通している事は、人間であるという事。僕も俳優・演出家である前に一人の人間である。
ですので、皆さんより少しだけ人間を長くやっている僕から、生きていく上でのこんな事気をつけたら素敵に生きられるのではないか、などの話を少しして終わりにしたいと思います。

先ほど、この仕事を始める動機の話をしましたが、何か物事を始める動機や理由はなんでもよい。とにかく自分の頭で考え、どんな動機でもいいので始めてみる事。そして失敗を恐れず行動する事。簡単に言うが、これは大変勇気のいる事です。
そして、物事始めたなら中途半端では辞めずに、とにかくコツコツと努力を続ける事。続ける事が大事な事です。これは、僕個人の考え方ですが、僕は、続ける事=持続性がないものは、俳優でも劇団でもなんでも、信じないという立場をとる人間です。
結果はよくても悪くてもいい。大事なのは結果ではない。プロセスだ。

そして、続けるうえで大事な事は、迷いながら続ける事。これでいいんだ、と決めない事。決めてしまうと楽だし、ただの繰り返しになってしまい、マンネリ、パターンになってしまう。また、本当に真剣にやればやるほど、迷いは出てくるものだ。生きるとはそういうもの。地道な、迷いながらの努力の繰り返しと人との出逢いにより、当初の動機や理由だった事の質が変わって来る。「変わり続ける。」事が大事。

人間は自然の一部である。自然は四季折々刻々とかわり続け、一瞬として同じ表情はない。人間もよく見ると、爪が伸びたり髪の毛が伸びたり、また老化現象などでも、体のいろいろな部分に変化が出てくる。

人間は細胞が集まりできあがっており、60兆個の細胞があると言われています。そして毎日20%(15兆個)が死んで、新しい細胞が生まれ変わる。毎日これを繰り返している。
肉眼では分かりにくいのでわからないだけで、人間の肉体は変わり続けている。
先ほど、人間は体と心があるといいましたが、体は毎日変わり続けているのに、心=脳=
考え方が、全く変わらなくなってしまう人間がいる。
これは見ていると、大変滑稽で、また、生きていても刺激が少なく面白くないのではないか、もっと生きている事は素敵な事なのに、なんて、おせっかいな僕は思ってしまう。
変わり続ける、それが生きている=生という事の大前提だし、また生が輝き続ける事の大前提だ。これは、皆様がこれから、どんな人生を歩むとも、どの職業につくとも、変わり続ける事が素敵な生き方につながると思っている。
しかし、人間は弱い生き物なので、変わり続ける事はなかなかむずかしい。その弱い人間を励ますために、文学があり、音楽があり、演劇があり、つまり芸術というものが存在する。僕も大変弱い人間なので、いつもいい音楽を聴いて、本を読んで、映画を観て、芸術に励まされている。そして、僕は励ます側の仕事もしているので、そういう職業をやっている。

みんなの前で話す機会を与えてくれた事により、自分の仕事に対して、自分自身がより深く考え直し、舞台芸術家という仕事をやっている事に誇り(矜持)を感じながら話をさせていただいたと同時に、もっともっと頑張らなくちゃいけないな、と強く感じました。

最後まで聞いてくれてありがとうございました。


劇団わらく 代表 勝俣美秋

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更新日:2011年1月30日


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